
産経新聞に絵本紹介を頼まれた。7月24日に掲載される。
明日イタリアに出発する私を訪ねて、息子夫婦が孫の絢羽をつれてやってきた。
この絵本を読んで聞かせる事ができる日も近いはず。
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小さいころ家にはディズニーの絵本が家にたくさんあったことを覚えている。
中でも『ダンボ』は、何度も母に読んでもらい、少し大きくなってからは、私が妹に読み聞かせたこともある思い出深い作品だ。
私が九歳、妹が二歳のころ、母は弟を出産するために入院。
母がいなくなってしょげている妹を見た私は、自分がどうにかしなくてはと思ったのだろう。
一生懸命、妹に『ダンボ』を読み聞かせた記憶がる。
妹は、大きな耳のかわいいダンボがお気に入りだった。
物を言わないダンボ。母が病院に入っても何も言わず、ただしょげている妹。
私はおてんばで、自分が『ダンボ』を勇気づけるネズミのティモシーになった気分で、何もできない妹を励まして、ソファーから飛んで見せたりしていた。
この本は「一人では何もできないが、みんなの励ましに応えれば空も飛べるよ」と私に教えてくれたのだと思う。
今、仕事をしていて痛感するのは、周りのみんなの励ましと協力があってこそ、仕事も上手くいくということ。だから、夢を追いかけている自分を多くの人が後押ししてくれれば、これからもきっと夢は叶うと信じている。
そしてこの本は、イメージすることの大切さも教えてくれた。
私はこれまで、まず「飛べるんだ」ということを信じてイメージし、それから行動する――そんなふうに生きてきたのだと思う。
ダンボの耳は大きくて、みんなと同じではない。標準的でないと世の中は受け入れてくれない。でも、この標準的でない耳のおかげで、ダンボは空を飛び、サーカス一の人気者となる。デザインの仕事は、みんなと同じであることを否定するところから始まる。
標準的でないことの素晴らしさを教えてくれたのもこの本かもしれない。